労働審判制度
労働審判制度は、司法改革制度の一環として2006年4月にスタートしました。
労働審判では、裁判官一人と、労働分野の専門知識をもつ審判員2人の計3人で審理が行われます。
審理は原則として3回以内とされ、調停、または審判で解決案が提示されます。
解決案に当事者が合意した場合、裁判上の和解と同じ効力が生じます。一方、異議申立てがあった場合は、通常の民事訴訟手続きに移行します。
労働審判では、結論がでるまでにかかる期間が平均で70日余りと通常の訴訟と比較するとかなり処理期間が短くなっています。
また、申立て費用は、通常の訴訟の半額です。
労働審判 |
通常の訴訟 |
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解決にかかる期間 |
3〜4カ月(原則3回以内) |
1〜2年 |
審理を行う人 |
裁判官1人と労働問題の専門家2人(労働審判委員会) |
裁判官 |
解決方法 |
調停または労働審判 |
判決 |
審理の進め方 |
申立書と答弁書を除き、主に口頭での審理 |
主に書面審理 |
費用 |
通常の訴訟の半額 |
訴訟での請求額に応じた額 |
労働審判制度の利用件数は、年ごとに増え続けています。
最高裁判所の調査によると、2009年の労働審判の申立て件数は、全国で3468件に上り、導入からわずか4年で、約4倍になっています。
また、申立ての内訳をみると、2009年は解雇などを巡る地位確認が約半数を占めており、次いで、賃金、退職金の順となっています。
近時では未払い残業代に関する紛争案件などが増えており、今後も雇用トラブルは増加する一方であると思われます。
このような状況の中で、労働審判は、短期間に、適正に、実効性をもって労使紛争を解決することができる制度としてこれからも利用件数が増え続けるものと思われます。
ただ、労働紛争は、事案ごとに内容が異なり、特に複雑な事案などの場合には、労働審判には馴染まないこともあります。
労働紛争の早期解決を目指すためには、事案の内容に応じて、弁護士や社会保険労務士などに相談のうえ適切な紛争解決手段を選択することが大切だと思われます。
個別労働紛争解決システム一覧 (訴訟外)
裁判所における訴訟以外にも、個別労働紛争の解決方法には様々なものがあります。以下の表にまとめましたので、ご参照ください。
管轄 |
対応機関 |
対応部署 |
対応内容 |
備考 |
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厚生労働省 |
労働基準監督署 |
総合労働相談コーナー |
情報提供、相談、紛争解決の助言 |
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労働基準法違反に対する指導、是正勧告 |
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雇用均等室 |
男女雇用均等法違反に対する相談、指導、是正勧告 |
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公共職業安定所 |
労働者派遣法違反に対する相談、指導、是正勧告 |
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労働局 |
総合労働相談コーナー |
情報提供、相談、紛争解決の助言 |
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労働局長 |
助言、指導 |
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紛争調整委員会 |
あっせん |
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機会均等調停会議 |
雇用機会均等法違反についての調停 |
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道府県労働委員会 |
個別的労使紛争のあっせん |
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地方自治体 |
労政主管事務所 |
労働相談情報センター |
あっせん |
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弁護士会 |
紛争解決支援センター |
仲介 |
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和解あっせん |
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|||
裁判所 |
簡易裁判所で受付 |
調停 |
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認証ADR |
和解の仲介 |
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